数ヶ月前からネット上では、広島県安芸高田市の議会の様子が注目を浴びている。2万7千人ほどの弱小自治体の定例会一般質問では異例の再生回数になっている。そこから切り抜き動画も多数上げられ私の目にも止まるようになった。そこには市長と市長反対派議員との壮絶なバトルが繰り広げられている。市長は理性で論理的に質疑応答をされるが、一部の議員は感情的に支離滅裂的意見を述べている。私は“感情”を否定するつもりは全くない。市民の幸せを思って感情的になってしまうのはありかと思う。市長に柔軟性も必要だが、ここの一部の議員の発言は、中立的立場で見ても恣意的な意見にしか聞こえない。市民を代表する立場の議員が自分のプライドを優先させて市民のことを全く考えていない姿が残念で仕方がない。この小さな市の行く末はどうなるのだろうか?
「確証バイアス」という言葉がある。「バイアス(bias)」とは、「先入観」とか「偏見」を意味する。これは自分に都合のいい情報ばかりを集める現象のことである。例えば、子どもが携帯を欲しくて「クラスの皆が持っているから自分にも買って」と頼むことがあるが、「クラスの皆」とは言っても、実際は数人程度ということがある。自分の欲望や願いが強くなっているために情報が正しく見えなくなってしまい、自分の思い込みや周囲の環境などによって無意識のうちに合理的でない判断をしてしまうことを「確証バイアス」と言う。この心理現象に陥ってしまうと、どんなに論理的アドバイスをしても聞く耳を持たない。牧師をしているとそういう場面に出くわすことがある。例えば明らかに第三者から見ても違和感があるのに、自己主張のために都合の良い情報や一部の聖書箇所で自分を正当化したり、自分の結論が出ているのに相談に来られるケースもそれに当たる。恐らくキリスト教会から派生した“異端”と呼ばれる団体も、本気で自分たちは正しいと思い込んでいるのであろう。
かく言う私も、そこに陥らないように気を付けなければならないと思っている。自分の先入観や願いからではなく、神さまのお気持ちや願いを最優先しつつ福音を伝えていかなければならないと肝に銘じている。