父親と一緒にサーカスの入場券を買うために長い列に並んでいた女の子とその父親がいた。その前に夫婦と8人の子どもの大家族が並んでいてサーカスを心待ちにしている様子だった。お世辞にも裕福そうとは言えない家族ではあったが、マナー良くみんな手を繋ぎ、ピエロやゾウや空中ブランコの演技のことなどを嬉しそうに話していた。どうやらサーカスを観るのは初めての様子だった。しかしその家族にショッキングな事態が訪れた。チケット売り場でその父親が「子ども8枚と大人2枚ください」と告げると、その入場券の合計金額が提示され急に父親の表情が青ざめた。母親も黙ってうつむいている。再び売り場の女性に金額を聞き返すが間違いではない。この両親は告げられた金額のお金を持ち合わせていなかったのだ。明らかに苦悩の表情を浮かべる父親。今楽しみにしている子どもたちにサーカスをみんなで観ることができないことを告げなければならない。それを打ち明けようとしたその時、後ろに並んでいた女の子の父親がズボンのポケットに手を入れて、20ドル札を取り出し何気なく足元に落とした。そしてそれを拾い上げながら、前に並んでいる大家族の父親の肩をたたいてこう言った。「失礼ですが、ポケットからこれが落ちましたよ」人から施しを受けるような人ではありませんでしたが、その時は20ドル差し出した父親の手を両手で堅く握り締め、目にはうっすらと涙を浮かべて「ありがとう。ありがとうございます。これで助かります!」と感謝を述べて無事に家族全員でサーカスを観ることができたとのこと。これはアメリカでの実話である。
 人の他者に対する親切は感動するものだが、神さまの人に対する愛の行為は並大抵ではできることではない。神なるお方が肉体をとってこの地上に来て、自分中心の罪に苦しみ地獄街道まっしぐらに進む私たちのために、その罪の代価を十字架にかかり支払ってくださり三日目に甦り天国への道を備えてくださった。何と心強いことか! Happy Easter!