実業家で作家の本田晃一氏が「半径3メートル以内を幸せにする」という著書の中でこんなことを書いている。
人は、自分を喜ばせること以上に、大切な人を喜ばせることに、より深い幸せを感じるようになっているのではないかな、と思います。1万円で、自分の欲しかったものを買う。これも幸せです。だけど、同じ1万円で、大切な人を喜ばせることができたときは、もっと幸せではないでしょうか。人それぞれかもしれないけれど、僕にはどうも、人間はそんなふうに設計されているように感じられるのです。だったら、その本来の設計どおりに生きたほうが、より幸せになれるでしょう。とはいえ、自分が満たされているという前提がなければ、人を喜ばせるということに疲れてしまいます。さっきの例だって、明日のご飯にも困る状態では、いくら大切な人のためでも、1万円も使うことはできません。
(中略)
 与えたら見返りがほしい。与えたら認められたい。これは、自分が満たされていないから、思うことです。満ちていない状態で、人を幸せにしようとすると、いまだ満ちていない自分の欲求不満を、相手に思いっきりぶつけることになってしまうのです。一番の理想は、「相手を幸せにすることそのものが自分にとっての幸せであり、そのあとは、ぶっちゃけどうでもいい。見返りや承認なんて求めるまでもなく、幸せにするだけで幸せなんだよ~!」という状態です。つまり、まわりの人を幸せにすることで、何より自分が幸せになるということ。もっといえば、自分が幸せでいたいから、まわりの人を笑顔にするということです。そのためには、まず自分を満たすことが大事だし、自分が喜んでできる範囲を見極めることも欠かせないでしょう。

 著者が聖書を読んでおられるかどうかはわからないが、神の“法則”を直感的に発見されたのではないかと思わされる。私も若き時代は受けることが多かったが、年を重ねるごとに与える恵みを学ばされている。