今日からアドベント(待降節)。それはイエス・キリストのご降誕を待つ期間であることを示しています。今回から3回に渡って、実話・クリスマスに起きた奇跡~20ドルから始まった物語~をお届けします。
 1971年のクリスマス。アメリカに住むある青年がレストランで無銭飲食をしたことから物語は始まります。青年の名前はラリー・スチュワート(23歳)。彼は若くして化粧品会社を起業したが、すぐに倒産し、路頭に迷うはめになります。8日間も食事をしていなかった彼は空腹になり、目に入ってきたレストランで食事をします。しかしホームレスだった彼に所持金はなく、19ドル(約2000円)ちょっとの飲食代でしたが支払うことはできず、警察に突き出されることを覚悟しました。その時「20ドル札、落としましたよ」と、ラリーに声をかけてきた男性がいました。それはお店の店員さんでした。ラリーは自分のお金ではないことは分かっていましたが、その20ドルを受け取り、無事に支払いを済ませて、その場のピンチを乗り切ることができました。
 その後、ラリーは再び奮起し、警備会社を立ち上げて懸命に働きます。結婚をして子供もでき、平穏な日々を送っていましたが、起業から5年後の1977年の年末に倒産し、莫大な借金をかかえました。追い詰められたラリーは銀行強盗をしようと、ピストルを懐へ隠し持ち銀行に入った瞬間、窓口にあった20ドル札が目に飛び込んできました。その時、彼は6年前のクリスマス、幸運にも20ドルを手に入れ、難を逃れたあのレストランでの出来事を思い出します。その時、「あれは本当に店員さんの勘違いだったのだろうか?」と疑問が生まれ、それを確かめるために彼はあのレストランへ行きます。そして、20ドル札を渡してくれた店員さんを見つけ尋ねると、店員さんは『クリスマスはみんなが幸せになれる日なんですよ』と笑顔で答えます。ラリーはこの時初めて、自分が店員さんから20ドルを恵んでもらっていたことを知ります。あの20ドル札は店員さんのポケットマネーでした。ラリーは店員さんに感謝を告げると、改心をして再び一生懸命に働きはじめました。(次週へ続く)