今、教会で学んでいる申命記から、イスラエルの民がシナイ山から出立して、目的の地カナンに11日間で入れるところを、39年もかかった理由を読みながら考えさせられたことは、私たちも、恐らく知らない間に遠回りしながら人生を送っていることが多いのではないかということです。彼らが遠回りした理由は、カナンの土地の目前に来たときに、神さまが「カナンの土地に入りなさい」と言われたのに、彼らは「その前にその土地を偵察して調査をしましょう」と提案したのです。彼らは神さまの偉大さよりも、先住民の強さや自分たちの手持ちを計算しようとしたのです。これが主への不信仰の表れでした。案の定、偵察に行った12人中10人が、相手の大きさと自分たちの小ささを見て怖気づいてしまいました。そしてイスラエル全体に恐れが生じ、目の前にある目的地に入ることができなかったのです。
 私たちは自分の能力や持てるもの、環境、状況を見ると、心配や不安でいっぱいになることがあるでしょう。今は新型コロナウィルスのニュースを聞くたびに落ち込んだり、気分が悪くなる人までいるそうです。今世界は、見えないウィルスに振り回されています。
 イスラエルの偵察隊の中に、現状に振り回されない人たちが2人いました。ヨシュアとカレブです。彼らは言いました。「主が良しとされるならば、わたしたちをその地に導いて行って、それをわたしたちにくださるでしょう。」(民数記14:8)彼らは現状ではなく、神の偉大さに目を留めていました。これが不安に勝てる秘訣です。諸々の上に立っておられ、創造された主が、私たちと共におられることを意識できたら、恐れは一瞬にして消えます。まさに生殺与奪の権を主に委ねるということです。
 勿論、社会的な責任は果たさなければなりませんし、無謀になってはいけません。しかし本当に恐れなければならないお方を知っておくことは、私たちの安心に繋がっていくのです。
 「からだを殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、からだも魂も地獄で滅ぼす力のあるかたを恐れなさい」(マタイ10:28)