アメリカとメキシコの国境を、定期的にオートバイで越えていく一人のメキシコ人がいました。この男は、いつも大きな袋に砂を、たくさん詰めて、オートバイの荷台に載せて、国境を通過していました。国境では当然のことながら出入国審査をして国境警備隊が通過する車両をチェックしていました。そのメキシコ人の男も、そこでチェックを受けました。そこの警備隊の人は、だいたいいつも同じ人で、そのメキシコ人がそこをオートバイで通過するたびに、毎回同じ問答がなされました「何を積んでいるのだ?」「砂です」 しかしいつも砂を積んでくるので、何かを密輸しようとしているのではないかと、毎回数時間もかけて砂袋を開け、砂を分析したりするのですが、何もおかしいものが見つからないのです。「本当に、砂を運んでいるだけですよ~」いつも同じセリフを、このメキシコ人の男は言っていました。このようなことが、毎週2回、5年間も続きました。5年後、その国境警備隊員は引退して、しばらくしてからメキシコ旅行をした時に、メキシコの高級クラブで、高い葉巻を吸っている例のメキシコ人を見つけました。元警備隊員は尋ねました。「もう私は引退したから、あなたを逮捕することはできない。だから、本当のことを言って欲しいのだが・・・オートバイで一体週に2回も何を運んでいたのかね?」彼は答えました「オートバイですよ」実は彼が乗っていたオートバイはメキシコで盗んだ盗難車で、それをアメリカで売り飛ばしていたのです。国境警備隊は、砂の袋ばかりに目がいってしまい、乗っているバイクが毎回変わっていることに気づかなかったのです。砂の袋は、ただのカモフラージュとして運んでいただけでした。
 私たちも、現実ばかりに、目が向けられてしまい、肝心なことを見過ごしてしまっていることがあります。メディアやネットからは、様々な情報が流されていますが、そのほとんどが流動的なものやフェイクニュースです。私たちはそれらに翻弄されていますが、絶対に動かない真理を握っていれば安心です。
 「あなたがたは、この世ではなやみがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」(ヨハネ16:33)