私たちの教会では、今、旧約聖書の創世記から順番に学んでいます。アブラハムの人生から、様々なことを学ばせていただいていますが、その中でも驚くべき発見は、今から約4千年前に存在したアブラハムという一人の人の決断が、今の時代に良い意味でも悪い意味でも多大な影響を及ぼしているという事実です。彼が天地宇宙を造られた神を信じ、その言葉に従うという決断をしたことによって、今や全世界に福音が宣べ伝えられ世界人口の約3分の1が創造主を信じるに至っています。当時は、世界の中でアブラハムしか創造主の信仰者はいませんでした。まさか彼は4千年後、世界中にその信仰の子どもたち(継承者)が生み出されているなどとは想像もしなかったことでしょう。
 それと同時に、アブラハムは、神さまから「あなたの子孫は空の星の数ほどになろう」と約束されましたが、自分の妻サラが不妊症で年齢も進んで、子孫を増やすことが難しい現実に直面し、神の時が待てず、自分たちの考えと方法で、子孫をつくることを急ぎました。すなわちエジプトから連れてきた奴隷のハガルという女性を通して子どもを産ませようとしたのです。やがてイシマエルという息子が与えられましたが、それは神さまのお考えではありませんでした。聖書ではこれを「肉の働き」と呼んでいます。その後、神さまは本妻であるサラを通して、約束の子孫を与えると言われ、神さまの時にサラからイサクが生まれます。この腹違いの2人の兄弟は、やがて仲違いになっていきます。イシマエルは、アラブ民族の先祖となりました。そして神さまが言われたように、その子孫は、歴史を通じて他の民族に、特にイスラエル民族に敵対して生きてきました。今の中東問題は、この奴隷の女性から生まれたイシマエルと、本妻の子どもイサクの兄弟喧嘩の延長なのです。その当時はただの兄弟喧嘩ではありましたが、時代の流れの中で、それぞれの兄弟から民族が形成され国が建てられ、今や国同士の問題に発展しているのです。
 私たちはなかなかそこまで想定できませんが、日々の決断が後の日に大きな影響を与えていくのです。願わくは信仰の決断ができますように。