「隠れ家」という作品を通して、コーリー・テン・ブームという存在を知る人は多くいます。彼女は、オランダ人でクリスチャンでした。第二次世界大戦中、ナチスに追跡されていたユダヤ人たちを自分の家にかくまいました。しかしブーム一家は捕まり、刑務所に入れられ、何ヶ月も迫害を受けました。彼女の著書の中にこのような内容があります。
 私は、強制収容所にいたときほど、イエス・キリストが一緒にいてくれることを実感したことはありません。私たちがいた兵舎は火葬場の裏手にありました。そこでは毎日600体の死体が焼かれました。残念ながら、私と同じくらいの歳の女性はみんな殺されました。私はこの目で人が殺されるところを見たのです・・・収容所内では裸で立たされたこともありました。みんな服を脱がされるのです。そういう試練を私は7度も経験しました。最初のときが一番大変でした。とても耐えられるようなものではありませんでした。あれほど惨めで、寒い思いをしたことはありません。すると、そのとき突然、十字架にかかったイエス・キリストが目に浮かんできました。聖書には、イエス・キリストの服がはぎとられたと書いてあります。裸で十字架にはりつけにされたのです。私は、自分が苦しんだおかげで、イエス・キリストの苦しみの何分の1かが分かったような気がしました。そして、それをとても嬉しく思いました。収容所のテントは、すべて真っ黒でした。土は灰で真っ黒になっていました。兵舎も真っ黒のペンキで塗られていました。明るいものといえば、星と月の光くらいなものでした。一度、真夜中にベスが私を起したことがありました。「コーリー、神様が私に話しかけたよ、私たちが自由の身になったら、やらなければならないことが一つある。それは世界中に福音書を配ってまわること。これほど辛い思いをしてきたんだから、みんな耳を傾けてくれるわよ。私たちは、ここでイエス・キリストの光が真っ暗闇の暗さよりも強いということを経験したのだから、そのことを話すことができる。もしも困っている人に出会ったら、悩むことなどないということを教えられるわ」そしてその二週間後、私は自由の身となりました。
 
 今から2千年前、イエスさまの弟子たちは、戸を固く閉ざした部屋の中で、聖霊が与えられた時、勇気と希望と力が注がれました。今も聖霊は、私たちのうちに生き、動き、存在しておられます。だから恐れるな!