ポーランドの有名な作曲家で、ピアニストであるパドロフ・スキーが、コンサートを開いたときのことです。聴衆の中に、あるお父さんが、この巨匠のピアノを聴かせたいと9歳になる自分の息子を連れてきていました。良い影響を与えることができればと願っていたのです。会場に入ると、ステージには素晴らしいピアノがおいてありました。コンサートが始まる前で、まだ人々が会話をしている状況で、そのお父さんも隣の人と話しに夢中になっているときに、その男の子は、そこから抜け出しました。そしてその綺麗なピアノに興味を持ってステージに上がって、なんと、ピアノに座って、唯一知っていた一曲を突然弾き始めたのです。人差し指、一本で弾ける曲でした。「チョップスティックス(おはし)」タタタタタタ♪ タタタタタタ♪ ピアノを全然弾くことができない日本の小学生も、よく弾いている曲です。この曲を弾き始めたとき、人々は、「誰だ? 誰の子どもだ!」と叫びました。お父さんが気付いたときは、後の祭りでした。そのとき、パドロフ・スキーは、ステージの舞台そでにいて、状況を察知して、上着を着て、まだ開演前で紹介もなされてないにも関わらず、ステージに出て、男の子のところに行きました。そして、後ろから「そのまま弾いて」と弾くことを促し、両手を男の子の後ろから伸ばして、男の子の弾いている旋律に合わせて、右手でアルペジオを弾き、左手でオブリガートを弾き始めました。最後の盛り上がりを弾いて演奏が終わったとき、聴衆はスタンディング・オベーション、総立ちで、拍手をしました。そして巨匠は男の子を台の上に立たせました。男の子は嬉しそうに立っていました。でも、一番嬉しかったのは、その男の子のお父さんでした。涙を流していました。その涙は息子のためだけではなく、むしろ、息子の愚かな行動に対して、この巨匠が立派なものに変えてくれたというところにありました。

 私たちも愚かな言動をしてしまったり、足りなさを覚えることもあるしょう。でも、あなたの人生を背後にいて、様々なフォローをして支えてくださっている方がいます。そのお方はイエス・キリストです。