私のアメリカ留学時代にお世話になった、アルバイト先の私のボスであったリース・ロジャースさんの思い出話です。
クリスマスシーズンは、アメリカではどこの家庭でも家族親戚が集まってパーティーをします。その年のクリスマスは、私は行き場所がなく、一人寮でクリスマスを過ごす予定だったのですが、ボスが「行くところがなければ、ウチに来なさい」と声をかけてくださいました。急な誘いでしたので、何も用意しないで手ぶらで訪問しました。そこには30名近くボスの家族や親戚が集まっていました。楽しく食事やおしゃべりが終わって、プレゼント交換の時間になりました。ツリーの下には、みんなが持ち寄ったプレゼントがおいてあって、家族親戚の名前が書かれていました。勿論私は飛び入り参加ですし、ないことはわかっていました。
 プレゼントイベントが始まりました。みんな誰からのプレゼントが当たるかワクワクしながら名前を呼ばれるのを待っていました。私は彼らがワイワイ喜んでいる姿を見ながら楽しんでいました。やがてそのイベントが終わって、みんなが片付けや帰りの準備を始めた、そのドサクサの中で、遠くにいたボスが、ウィンクしながら、自分に渡されたプレゼントを私のポケットの中に突っ込んできたのです。私は「え?? これはあなたの・・・」と言いかけると、人差し指を口元にもっていって、「黙って受け止めなさい」というサインを私に送って、何もなかったようにして向こうへ去って行きました。私は、ボスのプレゼントがなくなってしまった・・・という複雑な思いと、一方的な愛の行為に、私は帰りの車の運転をしながら涙が溢れました。
 
 私はこのようなボスの元で4年間働くことができたことは、本当に幸せでした。いかに仕事をさぼるかということを考えている人たちがいる中で、私は自分の損得関係なしに、ボスのために仕事をしました。本当に充実した毎日でした。
 神さまは、一方的に私たちに愛を注いでくださっていて、私たちがその愛に気付いて、それに応える生き方ができれば、本当に幸せですよ!