世界的に有名な曲「驚くばかりの恵みなりき」Amazing Graceの詞を書いたジョン・ニュートンは、神様の恵みによって、その人生が大きく変えられた人物の一人です。彼は奴隷船の船長で、人を売買し奴隷を人間扱いしない冷酷な血も涙もないような人間でした。ある時、大嵐の中で、船が木の葉のように揺れて、命を落とすかもしれないという状況の中で、彼は一冊の信仰書を通して、神様の恵みに触れました。それから彼はイギリスに帰ってから、奴隷船の船長を辞め神様に仕える者となりました。そして牧師になって、神様がどれだけ自分に恵みを注いでくださったかを宣べ伝えるようになったのです。そのことが、彼の歌の中にも表れています。「驚くばかりの恵みなりき、この身の汚れを知れるわれに」
あまりにも有名な曲ではありますが、残念ながら日本語訳の歌の歌詞には、作詞者の思いの半分も伝えられていないのが現状です。英語の直訳は「アメイジング グレイス『驚くばかりの恵み』とは、何と美しい響きでしょうか。私のような者までも救ってくださり、道を踏み外し、さまよっていた私を神は救い上げてくださり、今まで見えなかった神の恵みを、今は見出すことができるのです」

 私は自分が何のために存在し、生きているのかわからないまま生きていました。自分という存在が、この世から消えたとしても、それで何の影響があるのだろうか? とも考えていました。中学2年生の時、教会の門をくぐり、神様に生かされていることを知り、神様の恵みなしに生きることはできないということを悟ったとき、私の中に変化が起こりました。「見るもの全てが美しい」という感覚で、同じものが生き生きと見え始めたのを覚えています。劣等性でしたが、神様の恵みは、何ができるとか、成績が良いからではなく、どんな愚かさも包み込む懐の広さがあることを知り、私の人生は全く変えられたのです。私の「今」は、神さまの恵み以外何もありません。それは弱さの中にある強さだと自負しています。神さまの恵みは、どんな人をも変える力を持っているのです。