ある病院での出来事・・・
寝たきりで首も動かせない男性が病室に運び込まれたとき、もう一人の患者が窓際のベッドに横たわっていました。お互いに親しくなると、窓際の患者は窓から外を眺めて、外の世界について詳しく話をしだしました。「今日は良い天気ですよ~。青空にぽっかり雲が浮かんでいます。向かいにある公園の桜が咲き始めたところですよ。」別の日には、「今日は風が強い日ですから、木の葉が揺れて、まるでダンスを踊っているようですよ~」などと、寝たきりで首さえ動かせない彼に語って聞かせてあげていたのです。彼は窓際の男性が語るその光景を想像することで、毎日毎日、心が慰められました。そして、自分も外の世界が見えるように早く病気を治そうと思うのでした。しばらくして、窓際の男性は退院することになりました。もう一人の男性は喜びました。「やった! これで、自分が外の世界を見ることができる。これからは、自分が窓の外の世界を見て新入り患者に話して聞かせてやろう。」看護師にベッドを窓際に移すように頼むと、すぐに聞き入れてくれました。しかし心躍らせて窓の外に目をやった彼は、愕然としました。窓はコンクリートの壁に面していて外の世界など何も見えなかったのです。それから彼は考えました。あの窓際の男性は、一体何を見ていたのでしょう? 彼の目に見えていたのは灰色の壁でした。しかし想像の力で、その向こうにあるものを見ようとしていたのです。そして、ただ天井を見ることしかできず、いつも辛そうにしているルームメイトのために、自分の思い描いた壁の向こうの世界を話して聞かせてくれていたのです。同じ壁を見て、ある人はその壁だけを見ます。しかし信仰の人は、その先にある「希望」を見ます。
「信仰の導き手であり、またその完成者であるイエスを仰ぎ見つつ、走ろうではないか。彼は、自分の前におかれている喜びのゆえに、恥をもいとわないで十字架を忍び、神の御座の右に座するに至ったのである。」(ヘブル12章2節) 私たちには揺るがない希望があります!