1980年代、韓国中を驚かせた事件がありました。当時韓国の民主化を目指す新党が結成されたのですが、その結党式を、当時の独裁政権に頼まれた200人のやくざが襲撃したのです。そのやくざのボスが、キム・ヨンナムさんでした。彼は逮捕され、2年の刑を受け、その名は一躍有名になりました。刑務所から出てきたキムさんは貧しく、その生活が大変でしたが、その時、近所に住んでいたクリスチャンのジョさんと知り合いました。キムさんはジョさんの親切さを悪用しようと企み、彼の教会に行き始めたのです。しかし、この悪巧みはジョさんと牧師の愛の前に負け、キムさんは自らの罪を悔い改めて、主イエス・キリストを信じたのです。「イエスは私みたいな者のために死んでくださった! イエスは私みたいな者を赦してくださった!」この喜びと感動が、彼の人生を180度変えました。彼は聖書全巻を何度も書き写しました。さらに30年間持っていた病気がいやされる奇跡も体験しました。そして、彼はどこをどう見ても以前やくざのボスだった人には見えない、教会の温かい執事へと変えられたのです。
今、キムさんは不良青年たちを正しい道に導き、伝道する働きに遣わされています。あるインタビューで彼はこう語っています。「やくざは義理というものを主張しますが、それも自分の義で、自己満足に過ぎません。しかし、イエス様はこんな私みたいな者のために死んでくださったのです。それを考えると涙しか出てきません」
韓国人なら誰でも知っているやくざのボス、キム・ヨンナムさんは、今もイエス様の無条件の愛の証人として、神様に用いられています。
(幸いな人2013年9月号より)
全ての人に、神さまの愛は注がれています。それは一方的で、私たちがどのような存在であっても変わりありません。その愛にどのように応答して生きていくかが私たちに委ねられていることなのです。