木を使う楽器は、その木によって音の良し悪しや、その値段に大きな差が出てきます。私が持っている6弦ギターは、中学時代に購入したものですが、今の何十万円もするギターよりも良い音が出ます。一昔前のアコースティックギターは、生音中心でしたから、使っている木の材質や製作工程などにこだわらないと、すぐ音に反映しました。今はドラムにさえマイクを立てる時代になってしまい、エレアコ(エレクトリック・アコースティックギター)と呼ばれるマイクを内蔵したものが主流になりました。ですから生音よりも電気的に増幅される音の良し悪しが問われるようになって、こだわる部分が変わってきたのです。
バイオリンやチェロなどの弦楽器は生音中心ですから、その音ですぐ見破られます。特に名器と言われるものは、痛みに耐えた木で作られます。ロッキー山脈の海抜3000メートルには森林限界線があって、その木々は、風が冷たく厳しいため、まっすぐ育たず、ひざまずいたような姿だそうです。それは厳しい環境の中で生き延びるため、必死で耐え忍ぶためにそうなったのですが、世界で一番美しく鳴る名器のバイオリンは、このひざまずいた木で作られるのです。痛みに耐えた木で作った楽器は、美しい音を奏でます。苦しみに耐えた木によって、苦しみに耐えられる音を出すバイオリンが作られるのです。
美しい魂で、絶妙な旋律を奏でる人は、何の苦しみもなく生きてきた人ではなく、さまざまな逆境や痛みを通ってきた人なのです。痛みが大きければ大きいほど、神さまは、あなたを最高の作品として、この世で輝かせようとしておられるということです。
「だから、愛する兄弟たちよ。堅く立って動かされず、いつも全力を注いで主のわざに励みなさい。主にあっては、あなたがたの労苦がむだになることはないと、あなたがたは知っているからである。」(コリント15章58節) 今週もご一緒してくださる主と前進いたしましょう!