CMなどでも起用され、世界で最もよく歌われている讃美歌といえば、Amazing Grace「驚くばかりの恵みなりき」が有名です。この詞を書いたジョン・ニュートンは元奴隷商人でした。彼が生きた18世紀は、奴隷商売が盛んな時代で、当時は“Triangle Trade”(三角貿易)と呼ばれていました。その名称の由来は、イギリス本土からアフリカへ何下して奴隷たちを船いっぱいに乗せて北アメリカ大陸へと運び、そして奴隷たちを金品と交換してイギリス本国へ帰るという航路が、ちょうど三角形を描いていたことから、そう呼ばれるようになりました。ジョン・ニュートンは荒くれ者で、奴隷に対しても冷酷な男でした。しかしある日、大きな嵐に遭遇して、死に直面したとき初めて「神さま、助けてください!」と叫んだのです。幸い命は助かり、その後、彼が7歳の時に亡くなった母親が残した聖書を読み始めて、クリスチャンになり生まれ変わり、献身して牧師になる決心をしました。その時の年齢は23歳でした。
「こんな愚かな、どうしようもない者をも神は救ってくださった」という恵みを歌ったのがこの讃美歌だったのです。
 82歳で死ぬまで、彼は自分の生涯をあれほどドラマチックに変えてくださった神さまの憐れみと恵みとを語り続けました。それこそ彼の毎回するメッセージの主要なテーマでありました。彼は召される少し前のメッセージの中でこう語りました。「私の記憶は、ほとんど失われました。しかし、私は二つのことはハッキリと覚えています。一つは私が大いなる罪人であること。そしてもう一つはキリストが大いなる救い主であることです。」
 「しかし、まだ罪人であった時、わたしたちのためにキリストが死んで下さったことによって、神はわたしたちに対する愛を示されたのである。」(ローマ書5章8節) 私たちの存在は神の愛の表われです。あなたが存在しているというだけで喜ばれているのです! Amazing Grace!