1979年に起こった銀行強盗の事件をご存知でしょうか?
猟銃を持った男が、大阪のある銀行に押し入り、人質をとって立てこもり、4人が犠牲となり、42時間後、犯人は射殺されるという、悲惨なものでした。
私も当時中学生でしたので、今まで考えられなかったような事件が生中継されているテレビを見ながら、早期解決を期待しながら見守っていました。
犯人の母親が説得に当たった時に、ニュースレポーターが言った言葉が、心に残りました。「母親の説得は功を奏しませんでした。全てのものを敵に回して立てこもる犯人。母親はそれでも、ただ一人、自分だけでも息子の理解者となり味方になってやりたいと、説得を終えて引き上げる後ろ姿が語っているようでした。」
とんでもない事件を起して、犠牲者まで出ているのに、そんなことがよくぞ言えるものだと私は思いました。しかし、今、親の立場になってみて、その犯人の母親の気持ちを、少し理解することができるようになりました。
無条件の愛・・・それは神さまが人間の親に与えた神様のご性質の表われであろうと思います。悪いものは悪いし、処罰されなければならない存在だけれど、世界中の全ての人を敵にまわして憎まれていても、自分だけはその存在を理解し味方になってやりたい・・・神さまは、私たちに一人一人に対して、そのような気持ちを持っておられるのです。何かをした結果ではなく、ただ一方的な恵みと愛の故です。人間の親には限界があります。しかし神様は、イエス・キリストを通して、私たちの罪の罰を解決して、信じるだけで救われるという世界を実際に成就してくださいました。私たちを苦しめる罪を憎み、私たち自身は救いたいと願われ、その両面の解決をイエス様の十字架が見事に実現したのです。まさに十字架は私たちの罪を取り除くフィルターです。「すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい」(マタイ11の28)