サーカスで用いられるゾウは、待機するテントの中で地面に打ち付けられた30センチほどの杭に細いロープで繋がれているだけだそうです。ロープがピンと張り詰める範囲内で歩き回っていますが、少しでもロープに引っ張られると止まってしまうのです。あの巨大な足でちょっとはじけば、杭なんていとも簡単に吹き飛ばすことができるはずなのに、決して試そうとしないのです。
世話係は、その現象をこう説明します。ゾウがまだ幼く体も小さい時に、地面に深く打ち込んだ頑丈な杭に縛り付けておきます。するとゾウは何度強く引っ張ってもいっこうに杭を動かすことができないので、そこから逃げ出すのは無理なのだと思い込んでしまうそうです。そのうち、ゾウは試みることさえしなくなります。いつしかゾウは成長して体も大きくなりますが、心ではこの限界を感じたままでいます。こうなると、世話係は地面に小さな杭を打ち付け、ゾウの足に普通のロープを縛り付けさえすれば、どこへも行こうとしなくなるそうです。それはゾウ自身が、このロープからは逃げ出せないと信じているからです。大きな動物が、物事を小さく考えるように調教されてしまうのです。
私たちには、どれほどの可能性があるかご存知でしょうか? しかし、自分の過去の経験や傷、自分の能力の小ささの思い込みや、現実の貧しさ、環境の悪さによって、本来の能力を発揮できないまま過ごしてしまう人も少なくないと思います。可能性とは氷山のようなものです。その10パーセントだけが水面に現れていて、残りの90パーセントは水面下に隠れているのです。氷山全体が可能性であるにもかかわらず、私たちの多くは水面に現れている10パーセントしか使わないまま終わってしまうのです。しかし、私たちは神さまの助けによって、可能性を主のために最大限に用いることができるのです。
「わたしは乏しいから、こう言うのではない。わたしは、どんな境遇にあっても、足ることを学んだ・・・わたしを強くして下さるかた(神)によって、何事でもすることができる。」(ピリピ4章11・13節)