「八風吹けども動ぜず」という言葉をご存知でしょうか? この言葉の意味は、「自分を惑わす出来事に動じず、強く心の根を張ろう」です。

自分を惑わす「八風」とは、どのような風なのでしょうか?

 一つ目は、「利」(り)=自分の意にかなう利益のこと。

 二つ目は、「誉」(よ)=陰で名誉を受けること。

 三つ目は、「称」(しょう)=目の前で称賛されること。

 四つ目は、「楽」(らく)=様々な心身を喜ばすこと。

 五つ目は、「衰」(すい)=意に反する損失のこと。

 六つ目は、「毀」(き)=陰で不名誉を受けること。

 七つ目は、「譏」(き)=目の前で中傷されること。

 八つ目は、「苦」(く)=様々な心身を悩ますこと。

 誰でも褒められたら嬉しいですし、けなされたら傷つきます。苦しいことだけに限らず、楽しい事、嬉しいことでも、慢心を生み、有頂天になってしまい、結果として私たちの心を動揺させるものであります。

 このような八つの風に毎日揺すぶられながら生きているのが私たちです。しっかりとした心の根がなければ、さまざまな風に心が動揺して、抑制できずに、高慢になったり、劣等感に陥ったり、とんでもない言動を起こしてしまうということにもなりかねません。

 この八つの風に対処する方法は、自分の立場をハッキリと認識するということです。例えば、テレビの司会進行役は、芸人たちがどんなにふざけて脱線しても、笑顔で淡々と仕切っている様子を見ることがあるでしょう。どうして、周りが笑ってざわついているのに、司会者は冷静でいることができるのでしょうか? それは自分の立場をわきまえているから動じないのです。

 新約聖書の中でパウロは、「ほめられても、そしられても、悪評を受けても、好評を博しても、神の僕として自分をあらわしている」自分は神に仕える立場ゆえに、栄えも恥も神さまが受けてくださるから動揺しないで生きることができるのだと言っています。私たちもそうありたい。