ショーペン・ハウエルの人間関係に関する「ヤマアラシの論理」というのがある。それは冬の寒い日に、ヤマアラシ二匹が近づいて、互いに温め合うのですが、それぞれが持っているトゲで、相手を傷付け合ってしまいます。近づけば近づくほど相手を傷付け合うので、ほどほどの距離でいる方が良いという論理です。だから人間もほどほどの距離を保っておけば、平和に過ごせますよというわけですが、根本的にトゲがあるという問題は変わらないわけです。人間にもトゲならぬ自己中心性(聖書では「罪」と呼ぶ)というものがあって、ほどほどの距離を保つなんてことはいってられない現実があります。家族や友人という近い存在になればなるほど、トゲをぶつけてしまうのです。

世界中の人は平和を求めています。それなのに何故戦争が無くならないのでしょうか? 今も世界のどこかで戦争が起こっています。命が奪われています。それは平和を求める人間の側に問題があるのです。自己実現型の平和を求めていますから、その自己実現にそぐわない平和論は受け付けることができないのです。そうやって、世界中で自己実現型平和論を主張することによって戦いが起こっているのです。テロリストたちでさえも平和を求めています。自己中心的な平和を得たいために、戦っているのです。それはテロリストだけの問題ではなく、私たちにも同じことが言えるのです。

この問題に解決を与える最善の方法をお教えいたしましょう。人と人の間にイエス・キリストを挟むのです。イエス・キリストは、私たちの持っているお互いのトゲに挟まってくださって、犠牲となってくださることによって平和が生まれるのです。

今から2千年前に、神と人との平和のために神なるお方がイエス・キリストを地上に送ってくださいました。このお方を神と人との間に挟むことによって和解が訪れたのです。神は人を赦し、人は神に近づくことができるようになりました。神実現型平和を求め始めるならば、真の平和がくるでしょう。それがクリスマスの奥義なのです。