これは朝日新聞「声」の欄に掲載された母教会付属のインターナショナル・カルバリー・アカデミー(ICA)の菅野勝治郎先生の文章です。
私が代表を務めるボランティア活動「手を貸す運動」は西アフリカ・シエラレオネで生徒約2600人の学校に給食援助など行なっています。先日、同校で働く日本人シスターが一時帰国され、生徒たちが集めた総額500ドル(約4万円)の東日本大震災義援金を届けて下さいました。
一日一食も満足に食べることができないシエラレオネ。学校給食が一番の頼りという家庭の子どもが多い中での寄金です。自分たちの食料でもある野菜やマンゴーを売って得たお金を持ち寄ってくれたそうです。また、同校は私たちが贈る予定だった給食・教育支援金一カ月分計200万円も辞退されました。
「自分たちの給食をイモや雑穀にすれば何とかなる。こちらの子にひもじい思いはさせないから支援金を全額、東日本の義援金にして下さい」というのです。彼らには貴重な資金のはず。私たちはそれを同校の名で義援金にしました。
世界の最貧国の一つの国の子どもたちから寄せられた心からの義援金が、被災地の皆さんを元気づけてくれることを願って、報告させていただきます。

現代の日本人が学ばなければいけないことに気づかされます。日本に住んでいるなら、努力さえすれば生きていく道はいくらでもあります。しかし働きたくても働くことができない国や、働いても食べていくことさえできない国は数多くあります。それでも哀れむ心、与える心があるのは、心が富んでいるからです。心は物質だけでは豊かになりません。豊かになった気分を一時的に味わうことができるかもしれません。私たちの人生を保障してくださる神さまに信頼することが、本当の豊かさを得る近道です。目の前の足元だけを見てあれこれ悩んでいませんか? 立ち止まって目を上げて見てください。違った風景が見えてきますよ。