かなり前の話しであるが作家の神津カンナさんが、テレビ寺小屋という番組で大変興味深い話をされていた。
彼女は、作家になる決意をしてアメリカ留学から帰ってきました。何度原稿を書いても突き返され、挫折している時に、作曲家である父親が自分の才能が開花した時の話をしてくれたそうです。
それは、小学校4年生の4月18日でした。音楽が好きではなかったのですが審査の結果、少年軍楽隊に一番で入りました。その時からトランペットを吹くようになり作曲家への道を進んだというのです。
小学校の同窓会の時、先生にお礼を言いました。「あの時、私の才能を見出してくださって、本当にありがとうございました。」しかし先生はワナワナしながら言いました。「実は当時、栄養状態が悪かったので、軍隊でラッパなどを吹かせると、皆肺をやられてしまうので反対したのだが、軍からの命令なので仕方なく肺活量の多い者から選抜したのだよ。」ガーン・・・大きなショックでした。しかし、「才能がないのにここまでこれたら上出来だ。」とその時から才能を創りながら今日に至ったとのこと。見せられた3つのカステラ箱には、父親の使った短くなった鉛筆がいっぱいに入っていました。
確かに才能のあるなしはあるかもしれないが、本当に才能があって仕事をやっている人は少ない。又、才能がないからといって、それをすぐ止めるのは不遜である。才能がなくてもそれを創りだす人もいる。すぐに諦めないようにという内容のお話であった。私たちも学ぶことがたくさんあると思います。
才能がない部分を見るのではなく、持っている部分を見始めると、それをどのように用いようかという気持ちになってくるものであります。
以前、杖をつきながら教会に来られている人生の大先輩がおられ、こう言われていたことに心打たれました。「やがて歩くことができなくなってしまった時に後悔しないように、今動ける限り教会へ来るようにしているのですよ。」「動ける自分」に目を向けておられる姿でした。