聖ルカ病院の日野原重明先生は、99才の現役です。先日、朝日新聞(3月3日)のオピニオン欄に書かれた文章です。
 『挑戦する限り老いない』今年私は100才を迎えます。これまでの人生は助走段階で、さあ、これからジャンプだという感じですよ。
 日本では50才代で肩たたき、60才で定年です。しかし、米国の大学では、やる気と実力があればテニュア(終身在職権)を取得し、生涯働き続けられる。実力さえあれば学外から研究費を獲得し、大学に貢献もでき、定年はない。 私などは100才に近づくほど、だんだん音が大きくなるクレッシェンドのようになる。講演の数が年々増え、より生産的になってくる。これまでの人生で、引退して悠々自適に過ごそうと思ったことはありません。業を終えるという意味での卒業や定年は、私にはない。現在も病院の理事長をはじめ、さまざまな財団や学会、学校の理事や会長など90近くの役職に就いていますが、多くがボランティアです。困った人を助けるボランティアの仕事は無限にある。報酬が発生しない自由な立場でリーダーシップを持ってボランティアの仕事をやるときの生きがいは大きい。人は生きがいを感じながら年を重ねれば、いつまでも若くいられる。皆さんにもぜひ、ボランティアをやってほしい。
 それと、歳を取ったから引退するのではなく、それまでにやったことのない未知のものに挑戦してほしい。やったことがないからできないというのは、能力がないのではなく、ただ単にそれまで能力を発揮する機会がなかっただけなんです。やったことがないから、なんて言わずに、とにかくやってみようとポジティブに生きる。哲学者のマルチン・ブーバーは「人は創(はじ)めることを忘れない限り、いつまでも老いない」と言っています。いくつになっても前向きな気持ちで、新しいことに取り組めば、できるんですよ。(後略)
 自分の年齢や能力や環境などを盾にして逃げ腰余生を送る人たちも沢山いますが、99才の先生に言われると言い訳できません。私も体は衰えるでしょうけれども、気持ちはいつも若者たちの模範であり続けたい。