アメリカにある村の古びた教会で、年に一度の食事会が行なわれました。夕食会の後、司会者に指名された人は何かその場で即興で出し物をするという一芸大会がありました。いよいよ司会者が指名したのはジェームスという男性でした。彼はシェークスピア調で聖書の詩篇23篇を流暢に暗唱しました。朗読が終わった時、拍手喝さいでした。次に司会者は、部屋の隅っこにいたビリーを指名しました。彼はボロボロの麦わら帽子をかぶっていて、ノソノソモゴモゴしながら前に出てきました。そして言いました。「俺はこれといった芸はできないけど、今ジェームスが暗唱した詩篇23篇ならできるんだけどなぁ・・・」みんなは、「同じでいいからやってくれよ!」と言ったのでビリーは、このように始めました。「昨年は母が死んで、辛い年だったけど、主は私の羊飼いであって、私には乏しいことがなかったよ。畑は不作で、子供たちも学校に行けずに働いたけど、主は私を緑の牧場に伏させて、憩いのみぎわに伴われたな~。色々な問題で悩んで落ち込んでいたけど、主はわたしの魂を生き返らせてみ名のために、わたしを正しい道に導いてくださったな~。仕事中に危険な目に何度も遭ったけど、神さまがわたしと共におられるから、災いを恐れることはなかった・・・。結局、子供たちは学校をやめなきゃならなくなったけど、あなたのむちと、あなたのつえによって私は慰められました。(むちと杖は羊飼いが羊を導き保護するために用いる道具)どんな時にも、わたしの杯はあふれて、満たされました。わたしの生きている限りは、必ず恵みといつくしみとが伴うという確信があります。わたしはとこしえに主の宮に住みます。
ビリーの体験談付き詩篇の朗読が終わった後、人々の目は、涙でいっぱいでした。その時、先ほどシェークスピア調で朗読したジェームスが立ち上がって言いました。「ビリー! 私は聖書の詩篇23篇を知っています。でも、あなたはそこに出てくる羊飼いが、どういうお方かということを知っています。そして、それこそが人生で最も大切なことであることが、今わかりました。ありがとう!」神は私たちの日々の力です。